「朝食を食べないと脳出血のリスクが上がる」
という趣旨のタイトルの記事が掲載され、
朝食を食べる時間がない人たちを不安に陥れています。
ヤフーのコメント欄では
腸を休めるために朝ご飯は、必要ないと専門家に言われてあまり食べなかったけど、もう何が本当だか分からない!
とか、
かと思うと最近は「食事は夜1回でいい」というような説もあったりして。どれが正しいの?
とか、色々な不安の声が寄せられています。
時事通信の記事では
朝食を食べる回数が週2回以下の人は、毎日食べる人に比べて脳出血の危険性が36%高まるとの論文を、磯博康大阪大教授と国立がん研究センターなどのチームが4日までに米医学誌に発表した。
と書かれており、
「大阪大学の教授」
「国立がん研究センターの」
「米医学誌に発表」
など、権威付けがなされる言葉がならび、この研究の信頼性をアピールしています。
でも、安心してください。
統計学的に言って、朝食をとらないと、脳出血のリスクが高まる、
ということは、この記事からは言えません。
もう少し厳密にいうと、朝食を食べることと、
脳出血発生の相関関係はあると言えますが、
因果関係を結論付けることはできません。
つまり、朝食を普段から食べる人ほど、脳出血発生のリスクは低いと言えますが、
それは「朝食を食べること」が原因でリスクを減らしているのではなく、
朝食を普段から食べないことと、高い脳出血の発生率は共通の要素があるというだけです。
常識的に考えて、朝食を毎日食べる人はかなり規律のある生活習慣を送っていますよね。
逆にほとんど朝食を食べない人ほど、病気になりやすいようなだらしのない生活や、
不健康な食生活を送っていることでしょう。
ですので、「朝食を食べないほうが健康にいい」と考えて普段食べていない方は、
このニュースを見て心配する必要は全くないと思います。
(補足1)まあ、因果関係だけでなく、そもそも、全体の発生率が1.27%なので、仮に朝食を食べるグループが1.00%、朝食を食べないグループが1.36%とした場合、その差は0.36%. たった0.36%しか発生率が違わないので、実用的な意味があるかと言われると、多分ないですね。
(補足2)これしか差がないのだから、統計的に有意ではないのでは?という疑問の声が聞こえてきそうですが、これだけサンプルサイズが大きければ有意差はでると思います。但し、「統計的に有意」というのは「違いがある」と結論付けているだけで、「実用的に意味がある」ことを意味しません。
(補足3)生物学・医学的にどれくらいの根拠があるのか筆者は知りません。また、「米医学誌」に掲載された論文を筆者は読んでいません。ちゃんとどの医学誌に掲載されたのか、記事の中で明記して欲しいですね。